パーティは大勢で

イベントの多いこの季節真選組もにわかに忙しくなる。
『やっぱり、クリスマスは無理かしら・・・』
考えながら大きな溜息をついていると、
「ツキヨミちゃん」
局長が笑顔で話しかけてきた。局長の笑顔を見るとほっとする。
「24日屯所でクリスマスパーティやるから。準備手伝ってもらっていい?」
「へっ!?」耳を疑った。ここでクリスマスパーティって・・・。
「お妙さん呼びたいな〜。来てくれないかなぁ」
局長は上の空だ。
「呼びませんか?お妙さん。万事屋の皆さんも」
「万事屋?またなんで。」局長は訝しがっている。
「新八君が来るなら、お妙さんも安心してくるんじゃないですか。神楽ちゃんがいれば女性も増えるし」
「なるほど!!ツキヨミちゃんさすが!!じゃあ、早速お妙さんの所にいってくるよ」
「仕事してからにしてくださいね。」
やれやれと思いながら、ツキヨミも楽しみになって聞きていた。
その日の午後、神楽がツキヨミを訪ねて来た。
「ツキー!!」
神楽のマフラーも出来上がっていた。
「どうアルか?」
「すごい!!がんばったね神楽ちゃん」
3人のマフラーをラッピングすると、
「そうだ、神楽ちゃん。24日にここでクリスマスパーティをするんですって。皆さんもどうぞって。」
「マジでカ!?」
「でね・・・」なにやら耳打ちをすると、神楽は微笑んで、
「なかなか面白そうアルね。」「でしょ」と頷きあった。

そして、当日。
「メリー!」「「「クリスマース!!」」」パンパンと鳴らされるクラッカー。
今日は、みんなでクリスマスパーティ。
「いただきます!!」さすがにひときわ賑やかだ。
「銀さんも新八君もいっぱい食べてくださいね。」
「ありがとうございます、お招きいただきまして。」
新八君は相変わらず礼儀正しい良い子だなぁ。
「ツキヨミさん。何か手伝える事があったら手伝うからね。」
お妙さんもこちらを気遣ってくれる。
「ありがとうございます。でも皆さんは客人ですから。ゆっくりなさってください」
「そうですよお妙さん。よかったらこちらで二人で将来のことでも語らいますか?」
ぴきっ、お妙さんの顔に怒りの血管が・・・、
「当たり前のように寄ってくるなゴリラがァァァァァァァァ」
ああ、また血の海が・・・。
「おめーのねーちゃんも大変だな」
「はぁ・・・」銀さんたちの声が聞こえわれに帰る。
「あ、銀さん。よかったらこれ食べてください。ショートケーキ銀さんスペシャル。甘味大目ですから」
といって、ケーキをワンホール出した。
「マジ!!うれしーんだけど。ツキヨミお前はいいやつだなぁ。マヨラーの彼女には惜しいぞ」
と大喜びでツキヨミに抱きついてきた。
すると、副長がダッシュで現れて
「俺のツキヨミに抱きつくな銀髪!!甘党が移るだろうが!!たたっ切るぞ」
「何もしません〜。何かしたいのは新ちゃんだけです〜」
こっちでも喧嘩勃発・・・、
「「はぁ・・・」」と溜息をつくツキヨミと新八
「ごめんなさいね。副長相変わらず血の気多くて」
「いえ、良いんですよ。銀さんも楽しそうだし」
「そうそう、新八君にはこれを、お通ちゃんの限定のCDと最近の雑誌に載ってた記事のスクラップ帳」
「本当ですか!!ありがとうございます」
ファッション誌とかだと恥ずかしくてかえないんですよねぇ、といいながら悦にはいっている。
「神楽ちゃんにはこれ」というと、髪飾りを出した。
「ありがとアル、ツキ」
「後でつけてあげる、きっと沖田さんも気に入ると思うわ」
と耳打ちすると、神楽は急にきょろきょろし始めた。
「サドは?」そういえば、1番隊の姿が見えない。
「あーあいつはな。」
口を開いたのは、副長。
「桂が出たとかで出動。いつ戻るんだか」
「では、1番隊の人のお給仕残りますね。」
「あたしも手伝うアル!!」
「本当に。助かるけど、万事屋の皆さんは・・・」
「ツキヨミ、気にすんな。神楽手伝って残りもんもらって来い」
「つまみ食いしちゃだめだよ」
快く了承してくれた。
「でも、時間によっては泊まりになるかもしれないですよ」一応念を押す
「ツキヨミは住み込みだろ」銀さんが聞く
「ええそうですけど」
「じゃあ、大丈夫だろ。ツキヨミの寝込みを襲おうものならマヨが降ってくるだろうし」
「何だよマヨが降るって」
「おめーがストーキングしてるに決まってる」
「彼女のストーキングってどんだけイテー奴なんだよ。俺は。」
「「はぁ・・・」」
「でも」この不毛な争いに割って入ったのは新八。
「ツキヨミさんの部屋があるなら大丈夫でしょう。ね、神楽ちゃん」
「大丈夫アル」胸をどんっと叩く。
「よく考えれば・・・」こいつ夜兎じゃん・・・。と全員が思った訳で。

一番隊が戻ってきたのは12時を回ったときだった。
「お帰りなさい皆さんお夜食できていますよ」
「あたしも手伝ったアル」
そんな神楽をじろーっとみる沖田さん。
「おめぇが?毒でも盛りましたかィ」
「お前のにはたんまり盛ってやるよ」
2人をいさめながら
「暖かいうちにどうぞ」と促した。
夜食を食べているのを見ていたら急に隊士の一人が
「ツキヨミさんすいません」といってきた。
「いつもの事ではないですか」笑顔で返すと
「でも、今日はクリスマス・・・。副長怒ってませんか」
「あぁん。俺がどうした。」と、タイミングよく副長が来た。
「副長!!」「どうしたんですかこんな時間に」と隊士が口々に叫ぶ
「戻ったって聞いたからな、どうだったんだ。逃げられたのか」
「逃げられたんじゃねぇ、逃がしたんでさァ。あいつ今日はテロじゃないなんていうから」
話を聞くと、桂に気になる女性がいるとかで、今日はそこに行くとかで、
「クリスマスプレゼントでさァ。愛しい女のところに行くならただの男ですからねィ」
「クリスマスって浮かれてんなよコラ。そんな行事こちとら関係ねーんだよ」というと煙草に火をつけた。
それを聞いたツキヨミは悲しく溜息をつく、それを見たサドコンビが
「マヨラーはわかってないアルな。」
「まったくでさァ」
「なんだと!?」
「ツキヨミがかわいそうアル」「えっ・・、あたしは別に」「ツキ!!」
「と、とにかくまだ仕事が残ってますから」というと出て行ってしまった。
「土方さん」「マヨラー」「「あんた最低」」同時にかかる罵声に舌打ちをして、
「明日も早いんだ早く寝ろよ」というといってしまった。
隊士からは、ツキヨミを案じる声がする。そんな中ひょこっとツキヨミが戻ってきた。
「お風呂も暖かくなってきましたよ」と普通に言い出した。
「ツキ!!良いアルか。悲しくないアルか」最初に飛びついたのは神楽。
「・・・いいの。だって副長さんはそういうこと好む人じゃないのはわかってたし」
「ツキ・・・。あたしたちもお風呂まだアル」
「男女別だから、あたしたちも入る?」
「わーい、早く入ろう!!」「片づけが済んだらね。」
1番隊の人といろいろい話したり、食事の片づけをみんなでやったりしながら、全部済んだので
お風呂に行くことにした。
「ひろーい!!万事屋とは大違いアル」
「元は、隊長さんたちのお風呂だったのを女性用に開放してくれたのよ」
一人だと、広すぎて寂しいわ。と付け足した。
「男風呂と隣同士だけどいい?」
「大丈夫アル。何かあったらあたしが倒すネ」
「頼もしいわ神楽ちゃん」
「しかし・・・」まじまじとツキヨミの体を見る神楽。
「どうしたらこんなにおっぱい大きくなるアルか」
「どこ見てんの神楽ちゃん。神楽ちゃんだって色白くて綺麗じゃないの。胸はいつの間にか大きくなるものだから。」
「ツキヨミだって、肌綺麗・・・」
そこで神楽は息をのんだ。
「驚いた?・・・よね。」ツキヨミは冷静に話しかけた。
「このことマヨラーに言ったアルか」ツキヨミは首を横に振る
「悲しみは誰かに言うと半分になるアル」
「・・・どこでそんなこと覚えるの」
「テレホンと人生相談でいってたアル」
「聞かなくて良いから」
神楽のいってることはわかる、でもこれを見せて幻滅されたくない。思い悩むツキヨミに
「じゃあ、マヨラーが信用できないアルか」
子供は純真だ、と思いながら返事ができない。信じてる・・・、信じたい、でも・・・。
「信じてるなら何でも話せる筈って、言ってたね。」
「誰が?」「ナズナとセリのセリちゃん」「誰それ」「今人気の昼メロアル」いや、あえて言うまい
「ドラマでセリちゃんがスズシロさんに詰め寄ってたネ。ツキもいつかマヨラーにないて詰め寄られるアル」
妙に突き刺さる一言になってしまった。その言葉が頭に残りつつも
「そろそろ上がろうか、髪を結ってあげるよ」
と2人は風呂を後にした。

同時刻、男風呂。
一部始終を聞く、1番隊と土方。
「しかし、副長。今どうして風呂にいるんですか」
「寝汗かいたんだよ」
「真冬なのにねィ」沖田はすばやく矛盾を返す。
沖田の言葉が耳を筒抜けるくらい土方は考えていた。あいつにはなにが・・・。
「でもいいこと聞いたなぁ」
「ツキヨミちゃんて、着やせするんだなぁ。本当ですか副長。」
副長は殺気立てて「想像した奴は切腹だぁ、コラ。介錯は俺がやってやる」
というと、出て行ってしまった。

神楽の髪を結いお互いに部屋を出る。
「もう二人とも」「寝てるアルね。」
「がんばろうね、神楽ちゃん」
「ツキ、きちんと話すアルよ」
二人はツキヨミの部屋を出て、愛する人のもとへ、赴いた。


という事で、これがクリスマス編第2弾になります。
この後二人それぞれに話があります。どちらからでも構いません。
ツキヨミちゃんのほうが、ちょっと大人っぽいかも。
まぁ、この人にはまだまだなぞが多いですから。そのナゾがちょっとだけ解かれます。      12/23

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