クリスマスは二人にも(ツキヨミ編)

ツキヨミは廊下を歩きながら迷っていた、このまま戻ろうか・・・。
「あの」話を副長さんにするのは・・・。
迷いながらも副長の部屋の前。
寝ていたらプレゼントを置いてかえる、起きてたら・・・覚悟を決める。
とりあえずノックする
「誰だ?」「・・・ツキヨミです。」「入れ」ああ、起きてる・・・、思いながら部屋に入った。
土方は土方で眠れなかった。風呂での一件、ツキヨミにはなにがあるというのだろうか。
「どうした?」優しくツキヨミに声をかけた。
「あの、これ・・・」包みをおずおず差し出す。
「クリスマスプレゼント・・・です」
「開けて良いのか」ツキヨミはぶんぶん首を縦に振る。
中には、マフラーとはおりもの。
「手作りか!?お前すごいな」純粋に感動している副長が嬉しかった。
「嬉しいよ、ありがとよツキヨミ」それだけで、ツキヨミは真っ赤になる。その頭をぽんぽん叩きながら
「ツキヨミ、俺は天人のイベントごとには興味はさらさらねえよ」
予想通りの物言いに肩を落とすと「でも」副長の話は続いた。
「お前の喜ぶ姿を見れるならなんだって好きだぞ」
「副長さん」ツキヨミは真っ赤な顔で副長を見つめる
「で、だ。俺からもプレゼントがある。明日は俺とお前は非番だから、1日中一緒にいよう。」
「副長さん。嬉しい・・・。」笑顔のツキヨミを優しく抱きしめた。ツキヨミもその暖かさ心地よさにうっとりしか
けた時
『マヨラーを信用してないアルか。信じてるなら何でも言えるアル』
神楽の声が体を駆け巡り、体が瞬時にこわばった。
その気配を察知して、副長が心配そうにツキヨミを見た。
ツキヨミは離れると
「土方さん。」と呼んだ。「お!?おお、何だよ」
「土方さんは信じてくれますか。私のこと」
ツキヨミはいつになく真剣な顔をしている。
「もちろんだ、なにがあろうと、ツキヨミはツキヨミだ。俺は信じているよ」
ツキヨミは安堵の表情になると後ろを向いて、着物をはだけさせた。
「おまっ、なにして・・・」
土方はそのまま絶句した。ツキヨミの白い肌に残る無数の傷跡。敵に捕まった隊士に同じ傷を見たことがある。
「その傷・・・鞭か?お前はいったい・・・」
後ろを向きながら、ツキヨミは淡々と話し出した。
「私は前の家で・・・男に体を売っていました。」
前の家は、私を厄介者扱い、奴隷のような扱いでした。昼間は家事に従事して、そしていつの間にかその家の
息子が私に目をつけてきて・・・
「体まで売らされるようになった・・・か。でもこの傷とどういう関係が」
「そういうのが趣味の人も結構いたんです。良いだけ叩くとそのまま組み敷いてきました。」
ここに来て、1年以上たとうかというのに、まだ消えない背中の傷。
「私が副長を拒み続けた意味。これでわかりますよね。あなたを「土方さん」と言えなくなった意味
わかりますよね。心のどこかで私はあなたを信じてなかったのかもしれない。私は汚れた女なんです。
あなたに愛される資格もない・・・」
後ろから、暖かな体温。土方はツキヨミを抱きしめていた。
「何言ってんだよ。さっきも言ったろ。何があろうとお前はお前だ。資格とか昔とかそんなの関係あるかよ。
本能がお前を求めてんだよ。それ以外に何が必要なんだよ」
抱きしめられた腕にそっと手を添えるとツキヨミは
「私は、心から人を信用できないんです。信頼という感情が欠落してしまっているんです。
心の傷は体の傷より治るのが遅いのに、治る間もなくえぐられ続けたんです。表面上には治っている様に
見えても、一番奥底の傷を治さない限り治らないんです。」
土方の腕に涙が落ちる。
「底の傷を治すには一度えぐらないといけない。でも、その痛みをわかっているからえぐる事も治す事も
できなくなるんです。」
「でも、お前は自分で底の傷にたどり着いたろ」
耳元で優しく土方はささやく。
「今、信頼の感情が欠落しているんだったら。これから育てれば良いだろう。いつになっても遅い事はないよ」
土方は抱きしめる腕を強くする。
「俺は、お前のためならなんでもする。俺がぬれる薬があるならいくらでも塗ってやる」
「ありがとう土方さん。でもこれは私の問題なの。・・・でも一つだけお願いしても良いですか」
「なんだ」
ツキヨミは土方の方に頭を乗せて土方の顔を見た。そして、涙いっぱいの笑顔で
「そばにいてください。こうしているだけで、私の傷も少しずつ癒える気がするんです。きっと。」
そういうと、どちらともなく口付けた。
「まずは」土方は咳払いをすると
「俺のことは名前で呼ぶように。もう大丈夫だろう。二人きりのときまで副長とか呼ぶな。
俺を信じろ。な。」
「はい、土方さん」
「それと、今日は・・・、ここで寝るか。」
「そ、それはつまりなんていうか・・・」
「好きな女の生肌見て、我慢出来るほど俺もできた男でもないからな。」
よく考えると、ツキヨミはずっと上半身生身だったわけで・・・。
急に気付いたように、赤くなったツキヨミの背中に土方は口付けた。
「いいだろ」熱を帯びた土方の瞳に逆らえなくなり、ツキヨミは無意識に頷いた。


この先は私は書きません。皆さんで想像していただければ。まぁ、大人の夜ですよ。
次の日の話は後々書きます。
そして、この話は続きます。これから佳境にするつもりです。
金づるがいなくなったら探しますから、そのあたりになってくる予定です。    12/23

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