其の事ばかりを想ってツキヨミSide


今日はとてもいい天気・・・、でも、どうしてこんなことに・・・。

「今日もいー天気だぁ」
真選組に女中として、雇ってもらってもう半年になる。
最初はどうなることかと思っていたが真選組の皆さんはやさしく、いいところだった。
周りにはやくざ集団とか泣く子も黙るとかいわれているけど、そんなことはない。
江戸の平和のためにがんばっているのだ。私にはわかっている。
「ツキヨミ今日も洗濯ですカィ」
「それが私の仕事なんですから沖田さん」
沖田さんは真選組の1番隊隊長。外見は綺麗なのにサディスティック星の王子様。
なぜか、私にちょっかいを出すようになっていた。

「沖田さん、あまり邪魔しないでくださいな。」
今日もそうやって、私の周りでちょっかいをだしてくる。
「邪魔なんてしてないでサァ」
まったく、そう思いながらも楽しかった。
「あ・・・」
副長さんだ。私は、始めてみた時から副長に恋をしていた。
いわゆる一目惚れだ。整った外見、低い声。近くであった時は真っ赤になってしまい顔も見れないほど。
鬼の副長なんていわれているし、いつもイライラした顔しかしていないけれど、
たまに、本当にたまに笑っていたりすると、とても綺麗で、そばにいたら気を失いそう。
それに、不器用だけど優しいし。たまに、重い荷物持っている私に何も言わずに手を貸してくれる。
たまたま同じ方向に行くだけだ、とか言われるけど、不器用な気遣いが私は愛しかった。
「なんでい、また、土方さんかィ。本当にツキヨミは・・・」
「お、沖田さんなにいってるんですか、私は別に・・・。」
「声、裏返って、顔真っ赤にして説得力のかけらもないですぜ」
そう、沖田さんだけは、私の気持ちを知っている。というか気づかれた。
それから、ちょっかい出される回数が増えたような・・・。
「・・・かなわないですから、絶対。副長さんとなんて」
と、悲しくなった。そう、所詮はかなわない恋。副長・・・、土方さんは色恋沙汰は嫌いだというし。
恋をしたとしても、私みないな女中に恋なんか・・・。迷惑なだけ。

「洗濯終わりっと」
総悟は途中で局長さんに呼ばれてた。また、バズーカの後始末のことで何か話があるのかしら。
久しぶりにちょっと一人の時間。部屋に戻って、編み物しようかなぁ。渡せなくても、作りたいし。
といろいろ思いにふけっていたら、不意に声をかけられた。

「ツキヨミ」!!この声は、副長さん!?
真っ赤になる顔を見られないように俯いたまま振り向く。
「仕事終わったのかい」
「はっ、はい」
そのまま、隣に腰を下ろされた。って、土方さんが隣に・・・。心臓が早鐘のようになっている。
「今日はいい天気だな」
「そ、そうですね・・・。」
「・・・・・」
緊張してしまって何をいってよいかもわからない。でも、二人で座っていられることが幸せ・・・。
いけない、いけない。このままだと、本当にあきらめられなくなる。私は立ち上がり
「じゃあ、私はこれで・・・」
と、部屋に戻ろうとした。と、副長さんが私の腕をつかんだ。
「・・・!!副長さん」
「まぁ、座れや」副長さんは何かをじっと見ている。それが私なのだとわかるまでに時間がかかった。
真っ赤な顔を見られた恥ずかしさから、顔をそらし、横に腰掛けた。
「・・・、お前好みの奴はいるのか?」
はィィ?!どうして副長さんが私にそんなこと。
まさか、目の前のあなたですなんて絶対いえない。でも嘘はつけないしなぁ
「・・・はい。」返事だけじゃ話が続かないかなぁ。とりあえず
「とても、不思議な魅力のある・・・人です」と言ってみた。一番の印象不思議と魅力のある人。土方さん・・・。
副長さんは、何かを考えある考えに思い至ったようだった。はぁ〜ばれたのかなぁ。
「惚れた男の事以外見ないって事か・・・」
ばれた!!どうしよう。つい、ビクッと肩が反応する。余計な事いわなかったらよかったぁ。
今までみたいなささやかな幸せもなしかぁ。
と思っていると、副長さんの手が顎にかかりすごい力で顔の向きが変わった。
目の前には、副長さんがいた。
「だから、俺が見れないのか。ツキヨミ!」
怒りとも悲しみ寂しさとも取れる顔で私を見ていた。
違う、違うの、私はいつもあなたしか見れなくて。近くで顔を見たら気を失うくらいなのに。
否定したくても何から話していいかわからずに口は開けど声はでない。
そう思ったら、唇に暖かな感触。パニック状態になった私はなぜだか泣き出した。
「・・・して、どうして副長さん。こんなことを・・・」
一瞬罰の悪そうな顔をすると、副長さんはいってしまった。
あなたは、私を求めた?求められるなら、この上ない幸せ。それとも、何かの気まぐれ?
気まぐれでも、いい。あなたがそう思ってくれるなら。
うまく考えがまとまらず、副長さんを追う事もできず、私はその場に留まってしまった。

そのあと、真選組はにわかに忙しくなり、副長さんは屯所を空けることが多くなった。
たまに戻ってきても、私を避けるようにしていた。
はぁ・・・、もう、だめなのかな・・・。辛いなぁ。
                           TO BE CONTINUED(悲恋編へ)
                                           (嬉恋編へ)


最初は二人の気持ちを1話で書ききるつもりでしたが、お互いの気持ちが大きすぎて分けました。
この後悲恋編と嬉恋編に別れます。悲恋編はこの次が最後です。
死ネタになるのでだめな人は読まない方がいいかも。
                                                                     11/11
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