眼鏡男子の憂鬱 後編


新八が万事屋を首になってから半年がたった。
「すいませーん」
銀時はしぶしぶ立ち上がった。一方的に新八を解雇した後銀時はマダオになっていた。
「何の御用ですかコノヤロー」
玄関を開けると、そこには一方的に解雇してしまったやつがいた。
「すいません。ここの万事屋の助手として、雇ってほしいのですが。」
「お前・・・。本業はいいのかよ」
「本業?僕の本業は万事屋ですけど」新八はにこっと笑うと
「銀さん、お願いです。万事屋で雇ってください。」と頭を下げた。
「・・・馬鹿だなお前。芸能界にいたほうが、儲かるだろう」でてけよ、銀時は新八に背を向けた。
「銀さん!!」悲痛な声に新八を引き寄せたかったのだが、ただ立ちすくむだけだった。
「なにやってんでィ、二人とも」
「痴話げんかカ。万事屋は3人そろって万事屋ダロ。銀ちゃん意地張るなヨ」
と、万事屋の唯一の女性従業員が階段を上がってきた。
「か、神楽ちゃん・・・」
「神楽・・・」
「新八、ダメガネの癖にずいぶん人気になったアルな」
「旦那はそんな新八君に嫉妬したんですかィ。うらやましかったんですかィ」
神楽は見たこともない男と顔を見合すとキシシと笑った。
「神楽ちゃん、其の人は?」
「この人はアタシの旦那アル。今新婚旅行中ネ」
「こんにちは、と言うか久しぶりですねィ、旦那、新八君」
「あ、あのよう・・・」銀時はためらいがちに問いかけた
「お前、沖田君か?」
「銀さん!!そんなことあるわけないでしょう!!」
「そうでもないんでさ、新八君」
「!!」新八は目を見開いた。
「とりあえず、入ってもいいアルカ」
「あ、ああもちろんだ。お帰り神楽、沖田君。新八ぃ、ちゃーでもいれてやれよ」
「銀さん!!・・・はいっ!!あがってよ神楽ちゃん」汚いけど、許してやってよ。
と言うと、新八は涙をぬぐって、万事屋に入っていった。
神楽と沖田は笑いあうと、新八に続いて中に入っていった。

「歌舞伎町に戻ってきて吃驚したアル」
といと、新聞をテーブルに投げた。その見出しには「人気タレント新八突然の引退表明。事務所との軋轢か」とあった。
「もしくは、交際問題のもつれか、だってねィ。まぁ、そっちだろうねィ」
「・・・お通ちゃんがね」と言うと、新八は話し出した。

お通ちゃんがたまたま同じ番組に出たあと、新八に話しかけてきた。
「新八君笑わなくなったね」
「そんなことないですよ」というと、新八はにっこり微笑んだ。
「そういう、嘘の笑顔じゃなくてね」と言うとお通ちゃんは僕のほっぺをつねった
「万事屋さんだった頃はこんな顔してなかったよ。こんな泣きながら笑ってなかったよ」
というと、つねった手を離して
「そういう笑顔はすぐにわかるから。やりたいことがあったら芸能界やめたほうが絶対いいよ。人気なんてすぐに落ちるものだし」
一緒にやってた万事屋さんが心配ですって顔に書いてありますよ。といってお通ちゃんは行ってしまった。

「それで、やっと自分と向き合ったんです。本当に自分がいたいところはどこなのか。やりたいことは何なのか。
芸能界の仕事なんかやりたくなかったんです。でも、仕事に穴開けれないからって、
がんばっていたけど。でも、もう限界なんですよ。僕が本当にやりたいのは万事屋なんです」
もう、仕事も落ち着いてきたし、眼鏡男子も出てきてますからね。と笑った。
「銀さん」新八は銀時の方に向くと
「お願いです、もう一度雇ってください。僕はここにいたいんです」
「銀ちゃん!!これじゃ新八がかわいそうアル。一緒にいたほうがいいアル」
新八と神楽は頭を下げた。銀時はそれすらもみれなかった。
「旦那」今までの一切を見ていた沖田が口を開いた。
「人間、いつどうなるかわかりませんぜ。俺はこういう運命だったんだろうけど。この後すぐ事故にあって新八君が死んだら、
旦那このままで後悔しませんかィ」
俺は、後悔ばかりで死んでしまったからねェ。と沖田はまっすぐな声を銀時に突き刺した。
そして立ち上がると、銀時のそばまで行き
「新八君の記事切り抜いてるほど追いかけてるのにねィ」と耳元で囁いた。
「!!てめっ、なんでそれを・・・」
「あーらら、実話ですかィ。山勘だったんですがねェ」と言うと、神楽のほうに戻り
「まっ、夫婦喧嘩は犬も食わないでしょうから、俺たちは屯所に行くとするかィ。神楽」
「そうアルな。また後で来るから、仲直りするヨロシ」
と言うと、二人は出て行ってしまった。

気まずい沈黙をやぶったのは新八だった。
「あの、ね、銀さん」
「・・・」銀時は新八に背を向けたままだ。
「僕が芸能界に入ったのは、お金もあったんです。姉上を楽させてあげたかったし。」
だから、と言うと新八は続けた。
「道場が復興できるだけのお金ができたら、姉上と二人笑って暮らせるお金ができたら辞めようと思っていたんです」
と言うと、新八はたちあがった。
「もう、二人で笑って暮らせるお金もたまったんです。」
新八もまた、銀時に背を向けた。
「それに、ここの家賃だって向こう10年は払えるくらいのお金ができたんです。銀さんがいつも払えなくて苦心して売り飛ばされそうになったりしているから。僕が何とかできるんだったらと思って」
でも、もう必要ないようですね。と悲しく哂った。
「僕は、お金を稼いでる間に、大事なものを失ってしまったみたいで。」
と言うと玄関に向かって歩き出した。
「・・・探しに行くか」
「えっ」
「万事屋、だからな。依頼だったら誰の依頼だって受けるさ」
と言うと、銀時は振り返った。そして、テレビで雑誌で追いかけていた人間を見据えた。
「依頼しろよ、新八」
「あの・・・」
「依頼してくれ」
「・・・あの、僕は、大事なものをどこかで失ってしまったみたいなんです。探してもらえませんか?」俯きながらも新八は言った。
「・・・しゃーねーなー。受けてやるよ、万事屋だからな」
新八が顔を上げると、銀時は微笑んでいた。
「でも、そのためには通ってもらわないと見つからないかもな。もしかしたら生活をともにしてもらうかもな。」
にかっと笑って新八をみた。
「!!銀さん・・・、ええ是非、通わせてください。そのうち生活をともにしましょう」
そうしたら、きっと大事なものが見つかるから。と泣きながら新八は言った。

「さて」というと、銀時は立ち上がった。
「じゃあ、手始めに大事なものがあるところに行こうか」
「?」わからないと言うように新八が首をかしげると
「真選組の屯所に俺たちの大事なものがあるだろう。」
「ああ、そうですね。行きましょう。」大事なものを探しに。と新八はうなづいた。
「ほら」と言うと新八にヘルメットを渡して、
「一刻も早く会いに行かないと、次いつ会えるかわからないからな。」
「そうですね。酢昆布いっぱい持って会いに行きましょう」
「で、今日はお前の手料理でもてなしてやれよ」
「あ、いいですね。」
と言うと、二人で玄関を後にした。

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嫌って程、最後が浮かびませんでした。
このままじゃ本当に新八が帰るどうしよう、と考えあぐねた時、万事屋に依頼しろと
銀ちゃんがいってくれました。
本当に、頭の中であばれてくれる、この人たちに助けられます。

しかし、長かった。今までで最長ですよ。最初は全部一気に出していたのですが、
それが嫌だったので、こういう形にしてみました。
ぐだぐだ間が否めない・・・。                080818

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