クリスマスまであと・・・

「ツキー!!」
屯所内に似つかわしいかわいらしい声。
「あれ、チャイナさんじゃないですか」1番に気付いたのは山崎。
「ジミー、ツキヨミいるアルか」
「今日はツキヨミさんですか。呼んできますよ待っててくださいね。」
と建物の方に向かおうとすると
「神楽ちゃん、どうしたの」とちょうど洗濯終わりのツキヨミが来た。
「ツキ!今、ひまアルか?」
「え?あぁ、仕事は一段落したかな。」
「お願いしたい事があるネ」ツキヨミは神楽の勢いに飲まれかけながら
「と、とにかく、私の部屋へこない?」と神楽を中へ導いた。

「それで、どうしたの?」
神楽は、相談事を忘れて、しばしお茶とおせんべいに夢中だったのだが、はっと気付き
「すっかり忘れるとこだったネ。編み物を教えて欲しいヨ」
話を聞くと、クリスマスのプレゼントを作りたいとか。
「今年は私がサンタね。で、お返しをたんまりもらうアル」
「お返し?」
「姉御から聞いたネ。プレゼントしたらみんな喜んで倍返しアル」
お妙さん、また女の広辞苑を・・・。
「でも、プレゼントもらったら嬉しいかもね。」そうだ、と手を叩くと、
「そうしたら、ここにある毛糸をあげるわ。棒は貸してあげるし」
「マジでか。嬉しいアル。ありがと、ツキ」
というと、傍らに置かれてる編みかけのものを見て、
「ツキはマヨラーにあげるアルか」
「うん、まぁ、一応・・・ね」
「一応?」不思議そうにツキヨミを見つめる。
「副長さんは、天人の行事は気にしないから。もらってくれるかどうか」
「他の人には」
「副長が怒るから・・・、本当はあげたいんだけどね。」
「マヨラーちっさいアルなぁ」
ツキヨミは苦笑いをしながら、
「無駄話はこのくらいにして選んで選んで。」と促した。
少しすると、だんだん決まってきたらしいのだが、考え込んでいる
「どうしたの?この色は銀さんね。こっちは新八君。似合いそうじゃないの」
「・・・見つからないアル」呻くように神楽は呟いた。
「サドやろうに、似合う色がないアル」
「サド?沖田さん?」
いろいろあげてみたものの、神楽のお眼鏡にかかるものがなかった。
「じゃあ、買いに行こうか。あたしも買い足したいし。」
「うん!」
支度をして屯所の門をくぐると見慣れた色素の薄い髪の毛が揺れていた。
「なんでィ、ツキヨミでかけかい?」
「あ、沖田さんお帰りなさい。ちょっと神楽ちゃんと買い物に行こうと思って。」
「ちょうどよかったアル、お前もこいよ」
「なんでィ、藪から棒に。大体なんでお前の言う事聞かなきゃなんねぇんだよ。」
「うるさい、黙ってついてくるヨロシ」
「あぁん、それが人にものを頼む態度かい」
殺気立つ二人に、ツキヨミは割って入って、
「屯所のおやつも買おうと思うんです。沖田さんなら良い場所知っておられるんじゃないかと思って。」
お願いします、とツキヨミは頭を下げた。
「・・・しょうがないねぇ。ついてってあげまサァ」
かくして、3人で毛糸屋へ。
「これはどうかしら?」
「いやいや、こっち方が似合いそうネ。」
二人できりのない話、そのうち
「お前ちょっと来るヨロシ」
と、手招きすると、毛糸を持たせた。
「なんでィ、こんなもん持たせて」
「他人が持った方が感じがわかるネ。」
さんざんあーでもないこーでもないといいながら、買い物も終了。
帰りに3人で甘味屋へよって休憩。
「さすが沖田さん。このお団子おいしいです」
「伊達に、見回ってませんからねィ」
「サボりの間違いアル」「余計な事言うな、バカチャイナ」
「本当のことだろ、バカサド」
二人を見ながらツキヨミはほほえましく思った。
どうして、こんなに仲良しなのに、二人の思いは通じ合わないのかしら。なんて考える横で
2人は口げんか。にぎやかなまま屯所に戻った。
部屋で、一番簡単な編み方を教えると、毛糸と棒を持って神楽は戻っていった。
「さて、あたしも早く完成させないとなぁ」
その前に、これ、もらってくれるかなぁ。喜んでくれるのかしら。それよりも一緒にいれるの?
不安と期待が混ざりに混ざった中、編み物に没頭した。

次の日から屯所内にはにぎやかな神楽の声が響いたのは言うまでもなく・・・。
                                                  TO BE CONTINUED(パーティは大勢でへ)


本当は、もっともっと早くにあげる予定だったのですがね・・・。
予定は全然うまくいかなくて、直前にこれあげたところでどうなの?ですよ。
ずいぶん前に作ったものの、タイミングを完璧に間違えました。
編み物は完全に私の趣味です。編み物って癒されるよ・・・。
                                           12/22

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