欲望ーそれからの物語はー

それからも、神楽はお墓に行きいろいろな話をして、誰にもいえないこともここで話した。
えいりあんはんたーの話は誰にもしないままだった。

3年目の沖田の命日。
万事屋と土方で沖田の墓参りに来ていた。
命日だからか、色とりどりの花とお供え物で、埋め尽くされていた。
神楽は、その前に立つと
「銀ちゃん、新八、マヨラー。聞いてほしいことがあるネ」
「何だよ急に」
「あたし、来年総悟の年になるネ。そうしたら、パピーについて、えいりあんはんたーになる」
神楽は、真剣な顔で言い切った。
最初は声もなくただ驚いた3人だったが、
「お前がそうしたいなら、それでいいなら、そうしな」
短く銀時は言った。
「銀ちゃん・・・」
「がんばってね神楽ちゃん。ちょっと寂しいけど、自分の道を見つけたなら、進むべきだよ」
「新八・・・」
「総悟は、いつもお前と一緒だろうよ。たとえこの星を離れたとしても。修行したいなら、うちに来い。俺たちじゃ相手にならないかもしれなくてもな。」
「マヨラー・・・」
ありがとう、一言言うと、神楽は泣き出した。
それから1年、万事屋や真選組と実践さながらの稽古を積みながら神楽は強く、そして、美しく成長した。沖田の愛刀菊一文の使い方も習い見る見るうちに刀の使い手になった。

そして、神楽が18になる前日
「新八」
「ん?」
「髪きってほしいアル」
「えっ」どうして?と言う顔で神楽を見ると
「総悟と同じくらいの長さにしてほしいアル。戦うときに長い髪は一寸不利ネ」
「あぁ、そうだね。」新八はうなづくと、
「じゃあ、今新聞紙持ってくるからそこに座ってて」
というと、駆け出した。
新八は器用に神楽の髪を切っていった。
「わぁ・・・」鏡の中には沖田のような神楽がいた。
「いよいよ明日なんだね。」
「そうアル」
「なんだか、不思議な感じだね。明日の今頃はここには僕と銀さんだけなんだね。」
「新八・・・」
「・・・がんばるんだよ、神楽ちゃん。でも、がんばりすぎちゃだめだよ。何かあったら僕らのことを思い出して。なにがあっても、神楽ちゃんの仲間で味方の僕らがいるんだからね。」
「ありがとう、新八」
その日は、万事屋トリオ3人で床についた。

翌日、旅立ちの日。
「じゃーん。どう、似合うアルか?」
神楽は、あの時もらった隊服を着て刀を腰に差し傘を持っていた。
「ああ、似合うよ」銀時は笑顔で返した。
「うん、晴れの日にもってこいだね。」新八も笑顔だ。
「違うアル」ちっちっちと指を振ると
「これが、これからのアタシの戦闘服ネ。これで、全宇宙のえいりあんを撲滅するアル」
二人は顔を見合わせると
「真選組がかすんじまうかもな」と笑った。
3人は、万事屋の前で写真を撮ると真選組へ向かった。この日をわかっていた隊士は神楽を出迎え息を呑んだ。
一瞬沖田の姿が全員に見えたのだ。
「沖田・・・隊長?」
「そ、そうごか」
全員がざわめく中、
「なに言ってんだよ。チャイナ娘だろう。今日が旅立ちの日だったか」あきれた声で土方が話しかけた。
「そうアル」
「みんな、あんたに総悟を見ているらしいな。まぁ、無理もないがな。」
「??」
「お前には、常に総悟がついてるってことだよ」土方には珍しく優しい笑顔で言った。
「もちろんアル。ずっとずっと一緒アル」神楽も笑顔で答えた。
ステーションへ行くと、海坊主が待っていた。
「パピー」
「神楽ちゃん。綺麗になったなぁ。」
「パピーは相変わらずネ」
「俺は、まだ諦めてねーからよ」
「毛根は諦めてると思うぞ」
「うるせーんだよ。天パがぁ!!」
咳払いを一つすると
「神楽ちゃんいくよ。」
「ちょっと、待つアル」
神楽はみんなと握手をして
「銀ちゃん!!新八!!ありがとう、これからも、アタシは万事屋の一員アル。ちょっと出張するだけアル。地球に来たときは真っ先に会いに行くアル」
「もちろんだ。おめーが嫌だと言っても万事屋からはぬかねーよ」
「手紙頂戴ね。僕らも書くからね。」新八はうっすら泣いていた。
「マヨ。刀の使い方教えてくれてありがとう。いろいろわがままを聞いてくれてありがとう。みんなにも伝えてほしいアル」
「こちらこそ。総悟は幸せだったと思うよ。あんたが最後までいてくれて。みんなには伝えておく。それとこれ」
と言うと、封筒を差し出した。
「総悟からの手紙だ、何年か前に俺にあいつが旅立つ日に渡せとおいてったんだよ」
「総悟から・・・」
受け取ると笑顔で
「宇宙船の中で読むアル。ありがと」
「もうそろそろいいかな」海坊主が促すと
「うん」と短く返事をし、二人は歩き出した。途中、神楽は振り返り
「みんな、本当にありがとーー!!アタシがんばってくるアル!!」と大きな声で叫ぶと
人ごみにまぎれていった。
程なく船は出港した地球を見ながら、土方から渡された手紙を開いた。
「総悟・・・」

神楽へ
これを読んでる頃はもしかしたら地球にいないんだろうな。土方さんにそのときまで渡すなと
言っておいたからな。
1週間だったかもしれないけど、大人になったあんたに会えてよかった。
俺がいなくなった直後ぼろぼろになったあんたが本当に天寿を全うするか心配していたんだが
要らぬ心配だったようだ。
でも、あんたがずっと俺の所に来てくれていたのは本当に嬉しかった。
他の人を、なんていったけれど、本当はずっとずっと俺のものにしておきたかった。
俺を選んでくれてありがとう、神楽。
えいりあんはんたーになったとしても、地球にはあんたのことを思ってるやつらがいるんだから
むちゃくちゃ暴れたりするなよ。
たまには、みんなのことも思い出してやれよ。
ああ見えて、みんな寂しがり屋だからな。
神楽と再びあえる日を楽しみにしているよ。だから、がんばってお前は生きるんだ。
生きていろいろなものを見て来い。そして、疲れたときにはみんなを俺を思い出せ。
それじゃあな。                   総悟

あの時、マヨにも会いに行ってたんだ。思いながら手紙の内容をかみ締めた。
「神楽ちゃん、どうしたの」
「え・・・」
「泣いてる。えいりあんはんたーは嫌だったかい」
「そ、そんなことないアル」と、神楽は流れていた涙をぬぐい、決意を新たにした。

この話は、まったく膨らます気はなかったのですが、こんな事になってしまいました。
これが原因で、5話完結が6話完結になったくらい、です。
この話とこの前の話は結構間があいてしまっているので、急に腕が落ちてます。
ない腕がものすごい勢いで下がっております。
で、最後はぐだぐだです。もうちょと、うまく表現できればねぇ・・・。              
                                                      080630
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