初詣は始めて行ったときが初詣

大晦日、普段ならゆっくりしている万事屋が珍しく仕事をしていた。
というのも大家でもあるお登勢から家賃を1ヶ月負けてやるから手伝ってこいということで
お登勢の知り合いの神社へ初詣の応援に来ていたのだ。
神楽は巫女、新八と銀時はお札等の売り子と人員整理だった。

「寒いですねぇ、銀さん」
「まったく、こんなときにあのババア人をこき使いやがって」
「一ヶ月家賃チャラっていうのは魅力ですが・・・」
それにしても寒かった今年の年末は寒波が来てしまい、外の仕事は寒いことこの上ない。
時間もまだ早いのか、人もまばらで、やることもない。
「それにしても、今年もあっという間にすぎましたね。」
「ああ」
「いろんなことがありましたね」
「ああ」
「来年はもうちょっと楽しいことがあるといいですね。」
「ああ」
「銀さん。何でそんなに反応ないんですか」
「そんなことねーぞー」
相変わらず、無気力そうだなぁ。と新八は思った。銀時はそういうわけではなかった。
思い出に浸っていたのだ。
新八は明らかにいろいろなことを乗り越えて強くなった。
その成長がうれしいのとともに、いつまでこうやって一緒に入れるのだろうという不安。
自分は、白夜叉。その名前は天人にまで響いている。それを考えると、いつかこいつらとも
別れなければならないだろう。という思いはいつになっても拭い去れない。
その反面、新八も神楽も自分を家族のように掛替えのない仲間のように思っていてくれてる。
それが嬉しくて離したくないのも正直な気持ち。その中で葛藤しているのだ。
新八はこんな自分に家族だと思ってくれていいといった。そして、こんな俺を心配して、
怒ったり喜んだり悲しんだりしてくれている。
神楽や自分と違って、新八は弱い。普通の人間だ。
だから、なおのこと離れるときがくるのではないかと、葛藤していた。
「・・・さん、銀さん。大丈夫ですか」
「あ?!ああ」
「急に怖い顔して押し黙るから何かあったのかと思いましたよ」
「ああ、まぁ、いろいろ、な」
「そろそろピークらしいですから」
「はいはい」
確かに、ピークがやってきた。どこから沸いてきたというくらいの人が押し寄せてきたのだ。
列を作らせて、はみ出ないように、危険じゃないように整理する。
無茶しようとする人を抑えたりもする。
「あぁん、人がせっかく初詣に来てやってるのに、なに押えつけてんだよてめぇ」
どうやら、たちの悪い酔っ払いがまぎれてきているらしい。
「順番ですから。神様は逃げませんから」
抑えてるのは新八。あいつは真面目だからなぁ、なんて銀時が考えていると
「んだとぉ、俺が来るのを神さんは待ってるだろうよ。早くいきてえんだよ」
と、新八に襲い掛かってきた。とっさのことに新八はひるむ、暴漢の拳が新八にクリーンヒットしてしまった。
「・・・だめですよ。神様はみんなに会いたがってますから。順番を守れない人には会いたくないんじゃないですか」
口端を切った顔で暴漢を睨みながらそれでも冷静な物言いをする新八に暴漢は恐怖を覚えた。
暴漢は舌打ちをするとおとなしく列に並んだ。
銀時は驚いていた。新八の対応と、自分の怒りに。
自分の大事なものを目の前で殴られた光景と、そのことに冷静に対応している新八の光景。
ああ、ほんとに新八は強くなったなぁ、と銀時は嬉しいような気恥ずかしいような感情が芽生えた。
弟の成長を見守る兄のような心境・・・、なのだが、銀時にはわからなかった。
ピークが一段落して、交代で休憩をとる。
「新八、大丈夫か?」
「このくらい、大丈夫ですよ。」新八は笑顔だった、
「強くなったな、新八」とくしゃくしゃ頭を撫でると
「ここでけんかになったらいけないと思って」と答えた。
どうして、という顔で新八を見ると
「だって、ここで喧嘩になってしまっては、万事屋の面子が保たれませんから。万事屋のためを思えばこんなものなんてもないです」
大事な万事屋ですから・・・。というと俯いた。
銀時は胸が熱くなった。新八の気持ちが嬉しくて嬉しくてたまらなかったからだ。
「バカヤロー、自分の身をしっかり守れ」
嬉しいのに、こんなことしかいえない自分が情けなかった。でも、新八には十分届いていたようで、
「はいはい、わかりましたよ」と笑顔で答えた。

「銀さんたちは、そろそろあがっていいよ」
神主さんから声をかけられ、神楽とも合流して家路につくことにしたのだが、
「せっかくだから、俺たちも初詣していくか?」
「あぁ、そうですね」
「でも、何をするアルか」
神楽ちゃんはわからないよね。と新八がいうと
「年の初めに神様にお願い事をするんだ。がんばるからこれを叶えてくださいって」
「なるほど、神様に誓うわけアルね。」
なんかちょっと違うけど、と新八は思ったが、神楽が納得して、拝んでくれるならいいかと思った。
3人でお参りして、万事屋に帰る。
「銀さん長かったですけど何をお願いしたんですか?」
「あー、いったらかなわないって聞くからいわねぇ」
「え!?そうなんですか?初めて聞きましたけど」
「俺はどっかで聞いたんだよ」
「そうなんですね、すいませんでした、変なこと聞いてしまって」
「いや、いいけどよ」
銀時はいえなかった。この暖かな存在を一生そばにおいてください、なんて願ったことを。
その代わりに、命に代えても大事な存在を守りぬくなんて誓ったことを。
「ま、ババアもまだねてねぇだろうから、お年玉と御節でもたかりにいくか」
「いいアルな」
「新年早々、何てこというんですか。まぁ、年始の挨拶には行かないといけないですね。お札も買ってきたし」
「じゃ、ま、まずはババアのところでもいくか」
まだまだ寒かったけど、銀時は寒くなかった。心が温かかったから。
そして、これが永久に冷えないように誰にも知られず心の中で願った。


という事で、遅くなりましたたが、初更新は万事屋から。
年末とか、仕事してなさそうなので、お登勢さんに行って貰いました。
真選組はこんなにまったりした正月は絶対迎えていない気がするので、なんとなく何書いていいのやら。
来年に持ち越そうかと思います。
3人って何にも負けない絆を持ってる気がするんですよね。
それは、何にもかえられない宝物って言うのは一番大人の銀さんにしかわかってなさそうだけど。
壁紙もちょっと初日風です。いつも初日の出写真に納めたいのですが後ちょっとってところで、だめなんですよね。
今日当たり撮ろうかなぁ日の出。
これも日の出だったと思います。そして、この日会社行ったと思うんですよね。早起きかそれとも・・・。      1/5

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