カレンダーの休日は

朝、パピーからの手紙があった。
『ちょうどに届けばいいんだけど、遠くから君の幸せはいつも願っているよ。おめでとう。
何かあの家にいて身の危険を感じたら、呼びなさい、すぐに6/8殺し位してあげるから。』
ふふっと笑いながら、部屋に戻る。今日は新八ももう来てて朝ごはんのいい匂いがする。
3人で食事を取りながら、自信ありげに聞いてみる。
「今日、何の日か知ってるアルか」
「今日は」と新八が言うと「「文化の日」」と銀ちゃんと同時に言った。
ちょっとがっかりした。でも、間髪いれずに
「神楽ちゃん、姉上が道場にきてっていってたよ」
「姉御が?」用事は知らないけど、と付け加えられた。
その話を聞いたと同時に急いで道場へ行った。姉御!!姉御ならわかってるはずアル。

その頃、万事屋では
「まったく、計画が台無しになるじゃねぇか」
「まぁまぁ、神楽ちゃんの気持ちもわかりますから。とにかく、姉上に感謝ですね。」
と、準備に取り掛かっていた。

「姉御ー!!」威勢良い声が響き渡る。
「いらっしゃい、神楽ちゃん」笑顔で迎える姉御。
「新八に聞いて来たアル。何アルか?」
姉御は私の髪を撫でながら
「お誕生日、おめでとうね。神楽ちゃん。」本当の姉みたいで、嬉しくてくすぐったい。
「ありがとアル」嬉しくて、つい紅くなったヨ。
不意に、姉御は立ち上がると、包みを渡してきた。
「これ、プレゼントよ」
「マジでカ?!嬉しいアル!!」
包みを開けると、上品な赤のワンピース。
「似合うと思って、神楽ちゃん赤似合うし」
「そうアル、だから、カレンダーの文字も赤いネ」
と、カレンダーを指差す。そのとたん、姉御はは笑い出した。
「何アルか?」
「これは、祝日と日曜日をあらわしているだけよ。あの家にいると年中休みみたいだから、
わからないかもしれないけど」
私の周りには、きちんとした休日がない人のほうが多いネ。万事屋は開店休業状態だし、
ヅラは日頃から追われてるし、サドは休んでんだか何なんだかわからないし。
とにかく、と姉御は言うと
「今日は、おめかしなさいな。ここで着替えて行きましょう」
「どこアルか?」
「内緒」
ほら、早くなさいな。と姉御に手を引かれて、着替えだす。
服を変えたついでに、髪形も変えてもらう。ちょっとだけ紅もひかれる。
鏡の前にはちょっと大人な自分がいた。
「どうかしら?気に入ってくれた?」
「す・・・、すごいアル!!レディネ、レディになったネ」
鏡の前で、いろいろなポーズを取る。顔がにやける。一つ大人になった実感がわいてくる。
「きっとみんな驚くわ」姉御もなんだか楽しそうだった。
一緒に道場を出て、姉御に導かれるまま歩いてゆく、ふと、その先に黒い服を着た男たちがいた。
「お妙すわぁぁぁぁぁぁん」とんでくるまでに時間はかからない。
その顔面にクリーンヒットをかます姉御。
「ゴリネ、相変わらずのゴリネ。」
「ったく、近藤さんは、まっすぐすぎていけねぇや」
ゴリを心配した、もう一つの黒い男が寄ってくる。黒い服に色素の薄い髪の毛。嫌でも誰だかわかる。
「ったく、いつもいつも・・・。」と言いながら、あたしを見ると頭のうえに?マークをつけそうな表情で、
姉御に「新しいスナックのバイトの子ですカィ。また、いい子入れましたネェ」と言い出した。
「何言ってるアルか、頭おかしいのカ?サドの新しい遊びカ」と悪態ついてやった。
急に、サドの顔が驚愕に変わる、口をパクパクさせながら
「お前、もしかして、チャ、チャイナ・・・」
「そーよ、歌舞伎町の女王神楽様よ。恐れ入ったアルか、なんせ今日はアタシの・・・」
言い終わらないうちに、サドは私をお姫様抱っこすると走り出した。
「なっ、何するアルか!!降ろせヨ!!」じたばたあばれるアタシにアイツは
「あまり暴れるナィ、パンツ見えますゼィ」とささやいた。
仕方なく、あばれるのを辞めてやると、そのまま何も言わずに、走り続けた。
いつもの公園に着くと、私を降ろしてくれて、お茶をくれた。
「今日は、チャイナの誕生日でしたネェ」急に言われた。
「何で知ってんだヨ」「この間自分でいってたろィ」
そうだったっけ、あまり覚えてない・・・。
「まぁ、おめでとう、誕生日。」と、背を向けて、あいつは言った。
「あ、ありがとネ。」つい、笑顔になってしまった。
「でも」と、急に真剣な顔をして、アイツは振り向いた。
「そういうカッコはやめなセェ」と言い出した。
ちょっぴショックだった。アタシは好きなのに、あいつは嫌いなのカ?!一番見せたかった人なのに・・・。
「どうしてアル」震える声でアタシは聞いた。そうしたら耳元でアイツは
「そういうカッコは俺の前だけにしろィ、そんな綺麗になったら、嫉妬に狂いそうでィ」
誰にも見せたくないんでィ、と赤い顔で言い出した。
「総悟がそういうなら、今日限りにしてやるヨ」と素直に従ってやった。
あいつの赤い顔がとてもかわいかったから。
「おい、神楽」不意に名前で呼ばれて驚いてると「手ェ、出しなセェ」といわれたので、
素直に出すとアイツは無言で、手のひらに箱を置いた。
「酢昆布」「プレゼント、でさァ」「もっと高いもんよこせよ、税金泥棒」「ありがとうはねぇのかよ」
まったく、とぶつくさ言いながら、また、アタシを抱きかかえると、
「行きますゼィ」といって、歩き出した。
「どこアルか」「いいところでさァ」「エロいところアルな」アイツがこける
「何でだィ、まぁそのままでいればいいんでさァ」
向かった先は、真選組の屯所。
「いいところじゃないアル」
「まぁまぁ、すぐにわかるから、とにかく行きますゼィ」
広間に入ると、綺麗な飾りつけ、大きなケーキ、とりどりのご馳走。そして、みんなの笑顔。
・・・と驚愕した、銀ちゃんと新八の顔。
「沖田くぅーん、認めてないけど、神楽ちゃんとの交際は認めてないけど!!」
「旦那、まだ付き合っていませんぜ。友達以上って、やつでさァ」
しれっとあいつが言うもんだから、ついおかしくなって、笑い出しちゃった。
「総悟、だからお前いくつよ」あさっての方向に、マヨラーが突っ込んでる。
「神楽ちゃん」新八が話しかけてきた。
「今朝はごめんね、びっくりさせたかったからさ。朝その話になるのわかってて姉上に協力してもらったんだ。」
忘れるわけないよ、僕らの大事な家族の大事な日を、と、銀ちゃんと二人で、笑ってくれて、嬉しくて。
「神楽、ケーキは銀さんが作ってやったんだぞ。心して、食べるように」と銀ちゃんが
「料理は、僕と新八君で、土方さんも結構うまいんですよ。」とジミーが
「いいマヨも奮発してあるから好きなだけ使え」とニコ中が
「俺は、二人を迎えに行く前に、飾り付けを」とゴリが
「沖田さんが神楽ちゃんを連れて走り去るからどうしようかと思ったわよ」と姉御が
「俺も、飾りつけ、やってやったんですぜ、ありがたく思えよ」とサドが
みんなが、今日は朝から自分のことを考えていろいろしてくれたことに嬉しくて、涙が出た。
「なーに、ないてんでィ」一番に気付くのは、抱きかかえているアイツ。
「しっしらないアル!」照れ隠しに大声を出すけど、涙が止まらない。
アタシを降ろすと、あいつの唇があたしの涙に触れた。
「!!」驚いたあたしは声もでない。
「止まりましたカィ」アイツはしれっと言うと微笑んだ。
「だーかーら、そういうの認めないから、銀さんそういうところは固いから!!」
「まぁまぁ、旦那。人は大人になっていくもんでさァ。」
「とにかく、一つ大人になった、神楽ちゃんを早く祝わないと、料理も冷めちゃうし」
さすがは新八、こんな中でもちゃんと状況を動かす。
「銀さん、乾杯の音頭取らないと」
へいへい、と言いながら、銀ちゃんが立ち上がると
「神楽、いい一年をおくれよ。誕生日おめでとうかんぱーい!」
「「「かんぱーい」」」どこからともなく、みんな微笑んで、宴会を楽しんでいた。
そのうち、お酒の入る大人たちは主役そっちのけで、楽しんでいるのだが・・・。
眠くなっているあたしに気付いたのは新八。
「神楽ちゃん、そろそろ帰る?」
「うん、眠いアル」
銀ちゃんを見るとマヨラーと飲み比べしている、おいていこうと、あたしたちは思った。
「近藤さん、銀さんを泊めてください。これで帰られても困るし」
「わかった、ここでどうせ、トシと雑魚寝するだろうしな」
新八はお母さんみたいアル。
アタシと新八と姉御はここで帰ることにした。
「まちなセェ」後ろからおってくるのは、アイツ。
「俺も送りまさァ」荷物も多いだろうしネェ、と付け加えられた。
誰の了解も取らないまま、荷物を取ると先に歩く。
万事屋につくと、荷物を置くためあいつは中に入ってくる。
二人っきりでここにいるなんて、初めてかもしれない、なんだか妙に緊張するのは、
いつもと違うカッコと時間だからという事にしておこう。
「おいチャイナ」不意にアイツが声をかける
「な、何アルか」上ずる声が妙に緊張感を煽った。
「俺の、プレゼント見ましたカィ」にやっと笑う。
あの、酢昆布?箱を出して中をあけると、「これ・・・」中にはブレスレット。
ウサギのチャームがついている、とてもとても綺麗なブレスレット。
アイツはそれを私から取ると、手首につけてくれた。
「わぁ・・・」嬉しくて、嬉しくて、何度も腕を振ってみた。
「じゃあ、俺はこれで帰りまさァ」と、満足そうにあいつは帰ろうとしている、無意識にその隊服をつかんだ。
「?なんでぃ」いぶかしげな顔をする。
「・・・も、もう一つプレゼントほしいアル」俯きながらアタシは言った。
「何が欲しいんでィ、言ってみろィ」「何でも言いアルか」「かなえられるなら」
「今日、泊まってけヨ。誕生日に一人で寝るのは、いやアル」
驚いた後に、優しい笑顔。
「カッコは大人でも、やっぱりガキですねィ」と笑うと
「一緒に寝てやるよ。今日は冷えるからねィ」と、頭を撫でられた。

まったく、無防備というかなんと言うか・・・。沖田は隣で寝ている神楽をみて思う。
神楽は規則正しい寝息を立てている。
神楽は知らない、ブレスレットの裏に書いてあるメッセージを。
「見つけても読めないでしょうがねィ」
裏には『LOVE SOUGO』と書かれている。
あんたは、俺のもの。もう、大人になるんだから、そろそろ本気で、奪いにかかりましょうかねェ。
沖田の腕にも似たブレスレットが光る。ペアブレスだった事は神楽に伝えてない。恥ずかしいから。
神楽の額にキスを落とすと、沖田も眠りについた。
明日の朝、旦那と眼鏡に何言われるかわからねぇなぁ、とおもいながら。



という事で、神楽ちゃんの誕生日です。書いてるうちに全然違う方向にいってしまいました。
沖田さんが神楽ちゃんを抱えて逃げたのは、一番におめでとうが言いたかったから。
神楽ちゃんと来れば沖田さんなので、ついつい真選組出しました。
本当はお登勢さんとか、マダオとか出すつもりだったのですが、沖田さんだけ出すとなんだか変と思ったので、
真選組動乱編後、ちょっと真選組と仲良くなった、って事で、真選組のみんなとお祝い、という事にしました。
大勢に祝ってもらったほうが、楽しいし。
そんなことを考えながら、書いてしまいました。   11/3

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