あなたを表す言葉


テレビでやってた。今年の漢字は「偽」なんだと。
そんなワイドショーを見ながら、僕は言った。

「今年は『偽』ですって。」
「へぇ」興味なさそうに返事するうちの社長。
「銀さんは・・・」
「なに?」 
「銀さんを漢字一文字でたとえると、と思ったんですよ」
「銀じゃねーの」
「違いますよ。『魂』だと思うんですけど」
「なんでさ」
「武士の魂みたいに銀色に光って、見ためマダオですけど、自分の信念は持っている。魂をしっかりと持っているそこに僕らはほれて一緒にいるんですから。」
「惚れてるなんて・・・今日の新ちゃんは大胆だねぇ」
「なに赤くなってんすか。そういう意味じゃないですよ」コホンと咳払い
「えー、どういう意味ですかぁ。まだなにも言ってないですけど。」
しまったとばかりに、今度は僕が赤くなる。
「可愛いね、新八。新八は『愛』かな」
「なんでですか?」
「愛しいのと、俺や神楽みたいに身よりもなくて怖がられることを知ってるやつらに『愛』をくれるから」
「僕はみんな同じように接してるだけですよ」
「そこなんだよ。それなんだよ。俺に家族と思ってくれていいって言ってくれたのもそうだし。俺が記憶なくした時神楽引き取ってくれたろ。俺たちはああいうのが嬉しいんだよ。お前にとってはささやかかもしれないけど」
「そうですか。そういわれると嬉しいですよ」
満面の笑みで返すと、銀さんも微笑んでいた。
「で、神楽ちゃんは『強』かな」
「ここはストレートなのな」
「違いますよ。彼女は確かに強いけど、精神的にもかなり強いと思うんですよね。意思も。身体も心ももしかしたら万事屋で最強かもしれないですよね」
「胃袋もな」
と言うと、二人で笑いあった。
外は寒波がきてるらしく、寒いけれど、依頼がないからお金もないけれど、こんな穏やかなときが、
ずっとずっと続いてくれるなら、それだって厭わない。


同時刻、真選組屯所
「副長、今年の漢字は『偽』ですって」
「へぇ」そういうことには無頓着な人だからなぁ。
「副長は・・・」
「んだよ」
「いや、副長は漢字で表すと何だろうと思いましてね」
「どおせ黒だろ」
「違いますよ。『魂』って言おうとしたんです」
「魂?」
「真選組の魂だし、武士の魂刀のように鋭く綺麗ですからね。そして・・・」
「あん?」
「俺の仕事の原動力、俺の仕事の魂は副長ですから」真っ赤になりながら懸命に告白してしまった。
「・・・恥ずかしいなお前」
「そんな風に言わなくても良いじゃないですか」
「嘘だって、嬉しいよ」と言うと、俺の頭をぽんぽん叩いた。心地よかった。
「でも、魂は近藤さんだろ」
「局長ですか・・・、『優』だと思うんです」
「ほう」
「『優』しい局長。そして、『優』れた上司。まぁ、あれな時もありますが、上司に恵まれてるとは思うんです」
「なるほど」と副長は感心すると
「山崎、お前は・・・『退』かな」
「名前ですか」
「馬鹿にすんなよ。俺はお前の名前気に入ってるよ」
「えっ」よくからかわれていた。退却の退。逃げる男だと。
「退って言う字は、少し離れたところから、冷静に物事を見る意味がある」
「そうなんですか」
「お前ぴったりじゃないか。観察と言う別の視点から真選組を見れる。そして、引き際をわきまえてる。退却だって立派な戦法だ。引き際をわきまえねぇと、無駄な犠牲を払う。最小限に抑えるのも才能だよ」
「・・・ありがとうございます。おれ、嬉しいです」
「ああ」副長は満足げな顔をしている。
「まぁ、俺限定で言うと『穏』でもあるんだが」
「えっ」
「俺にとって穏やかな気持ちをくれるのはお前だけだからな、山崎」
「・・・恥ずかしい事いいますね」と言いつつも、俺が真っ赤だ。
「お前だって言ったろ。お返しだよ」副長は笑ってた。
「総悟はなんだろうな」
「沖田隊長ですか・・・『虐』とか」
「『獄』とか、『残』とか・・・」と、二人で笑っていると。
「ずいぶん楽しそうですねィ」と、後ろから張本人
その、笑みを見て、二人とも
「この男こそ『黒』がぴったりだ・・・」と思ったとか思わないとか。


土方さんと銀さんは同じ漢字にしたかった。二人を共通する漢字は魂ではないかと。
会話のみの話を書いてみたくて、できるかと思ったんですが、どうしてもそれだけで成立できない。
文章力のなさが悲しい・・・。
思いつきはTVKで放送している深夜番組名前で呼ぶなってでやってたところから。
漢字好きな私には考えてて楽しい話でした。お気に入りは近藤さん。
優しくて優れた上司。良いじゃないですか。
今まで書いた中で一番甘い話になってる気がします。
って、これで甘いって・・・。                  1/29

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